イタリアでの離婚

裁判官イタリアの離婚が、日本のそれと大きく異るのは、日本であれば、お互いの合意のもと、離婚届を提出して、それが受理されれば、離婚が成立するものの、一方イタリアでは、お互いに離婚の意思があっても、まず法的な別居期間を経て、その後、離婚が成立するまでに、多くの場合、数年の時間を要する、という点です(後ほど新制度についても)。

イタリアで別居

婚姻関係にある当事者同士に離婚の意思があっても、離婚の前にまずは法的に別居(separazione legale)の手続きを取り、3年以上経過しても尚二人の関係が修復出来ない時にはじめて、離婚の手続きを取ることが出来ます。

別居には、協議別居(separazione consensuale)と調停別居(separazione giudiziale)があり、前者は当事者二人の間で別居やそれに関わる条件に合意し、更に裁判官の承認のもとの別居、後者は当事者のどちらか一人だけ、もしくは双方が別居を申し立て、別居やそれに関わる条件に合意できない場合、後に裁判官が承認した上での別居を指します。

裁判所を通さない、事実上の別居では、3年以上別居期間を経ても、それを理由に離婚を請求することは出来ません。

有責配偶者

調停別居の場合で、当事者のどちらか一方に、夫婦としての義務に著しく反する行為があり、それが同居(婚姻関係の継続)を続けることが難しい原因となっている場合は、原因側を有責配偶者(seprazione con addebito)として、裁判官を通し責任を問うことが出来ます(Art. 151 C.C)。

有責配偶者として問われる可能性がある例としては、婚姻外関係などがあります。

有責配偶者となった場合、生活維持費の請求が出来ません。

また法的別居期間中に配偶者が亡くなった場合も、有責配偶者の遺産相続の権利は限定されます(有責配偶者でない場合は、限定されず、法的別居前と変わらない権利を持つ)。

協議別居の手続き

双方が別居に同意している旨、協議別居請願書(domanda conguinta di separazione)を当事者双方、もしくは片方が住民票を置く地区の裁判所に提出します。

この時点では、必ずしも弁護士の同伴は求められません(但し公平性を期し、将来の為にも、弁護士を付けるのが望ましい)。

また2012年のデータでは、法的別居の約85%が、協議別居を選択している、とのこと。

提出書類

  • 結婚証明書(atto di matrimonio)
  • 住民票(certificato contestuale di residenza)
  • 戸籍謄本(stato di famiglia)
  1. 裁判所で公的な書類の準備が整った後、裁判長に拠って、口頭弁論会(udienza)の日時が設定されます。
  2. 口頭弁論会において、まずは二人の関係の修復(conciliazione)が試みられます。
    話しあううちに気持ちが変わって修復に合意する場合、裁判所で請願書を取り下げることが出来ます。
  3. 一方で口頭弁論会における修復が失敗に終わった場合、その瞬間から法的な別居期間が開始します。
  4. 裁判所は、市役所に別居の承認(omologa di separazione)を通知します。
  5. 市役所側で、協議別居中の旨、戸籍謄本に注釈が付けられます。

裁判所への書類提出から、別居期間の開始(裁判所の承認)までは、凡そ半年前後を要します。

調停別居の手続き

調停別居を希望する場合は、弁護士を付ける義務があります。

離婚請求(istanza di separazione)を当事者双方、もしくは片方が住民票を置く地区の裁判所に、弁護士が提出します。

提出書類は、協議別居の場合と同様です。

  1. 裁判長に拠って、口頭弁論会の日時が設定されます。
  2. 口頭弁論会において、まずは二人の関係の修復が試みられます。
    関係の修復が望めない場合、予審判事(giudice istruttore)のもと、別居訴訟が提訴され、民事訴訟中、双方はそれぞれの弁護士のサポートを受けます。
  3. 訴訟終了時に、別居判決が出ます。
  4. 裁判所は、市役所に別居判決を通知します。
  5. 市役所側で、調停別居中の旨、戸籍謄本に注釈が付けられます。

訴訟期間とは関係なく、当事者の子供(子供はどちらに委ねられるか、面会権)と住居(住居の割り当て)などに関し、緊急で一時的な措置が取られる場合もあります。

裁判所への書類提出から、別居判決までは、2-3年掛かるのが一般的です。

別居に掛かる費用

イタリアでは、弁護報酬は個々の弁護士がその基準を定める(Decreto Bersani (l. n. 248/06))ことになっているため、標準的な価格というものは存在しません。

が、凡そ、一般的には以下の費用がかかる場合が多いようです。

別居の際に掛かる費用としては、協議別居で1度の口頭弁論会のみの場合は、弁護報酬として1000-3500€程度。

調停別居の場合で、5度前後の口頭弁論会の場合は、弁護報酬として1200-10000€程度。

加えて有責配偶者としての責任を問う場合は、数年の時間が必要となることが多い為、更なる費用が必要です。

弁護報酬の他、書類作成料、収入印紙代などの実費など、弁護料の総額から凡そ十数%程度の費用も別途掛かると言われています。

一方、有責配偶者でない場合は、所謂日本の国選弁護制度のように、patrocinio a spese dello Statoを利用する権利も与えられます。

親権

日本では離婚の際、子供はどちらが引き取るのか?という問題はすなわち、親権の問題です。

一方イタリアでは、親の権利というよりも、法的な別居後も、子供は両方の親との関係を保つ権利があり、両方の親には親として平等の義務があること(Art. 155, 155 bis C.C)、又、2006年の法改正後は、子供が両方の親に委ねられる(affidamento condiviso dei figli)例も多くなっています。

が、時間的、生活面などでも、両方が全ての意味で完全に親としての義務を折半することは現実的ではない為、事実上は、どちらかの親に、子供が委ねられる(affidamento dei figli)ことが大半です。

裁判官は、何よりも子供の権利を最優先し、主に委ねる親を選択します。

それと同時に、両方の親が子供の成長・教育に関わることが出来るよう、子供と離れて暮らしている親との面会、養育費などについて、裁定します。

イタリアでは、特に子供が小さければ小さいほど、主に委ねられる親として母親が選ばれる場合が多いようです。

養育費

養育費(assegno di mantenimento figli(Art.155-quinties C.C))は、それぞれの子供が必要としているもの、両親各々の経済状況、子供がそれぞれの親と過ごす時間などに拠りますが、基本的には子供の権利、つまり両親が別居前の子供の生活スタイルを出来る限り維持することが最優先事項として、考慮されます。

養育費の計算は、両方の親の収入(不動産・投資など、就労収入以外も含む)、住居の割り当ての有無などにも拠りますが、2015年のデータでは、養育費として、子供が一人の場合は160-440€/月、二人以上の場合は210-600€/月というのが一般的です。

平均にすると、どうしても養育費が飛び抜けて多い(1000€/月を超える。全体の約15%)一部の富裕層が入るため、現実的なところでは、養育費は400€/月未満というのが、全体の約6割を占めます。

子供が成人(イタリアでは18歳)し、経済的に自立した時点で、養育費を支払う側の親は、養育費支払い終了を請求することが出来ます。

が、子供が成人している場合も、‘子供の意思とは関係なく’、経済的に自立していない場合は、成人した子供にも、養育費を請求する権利があります(Art.155-quinties C.C)。

成人した子供の養育費については、それぞれのケースを裁判長が判断するものであって、期間や額などが法律で定められているものではありません。

養育費の支払い義務と増減

養育費の支払いを怠った場合は、最大で1年の懲役(Art. 570 C.P)、もしくは最大1032€の罰金(Art. 151 C.C)が生じます。

支払いが義務付けられた側は、たとえ、失業したとしても、養育費の支払い義務が免除されるわけではありません。

但し支払い義務側の失業、病気、不動産収入の減少を理由に、養育費の減額を求める権利があります。

住居の割り当て

子供には、両親が別居前の生活スタイル(子供が成長した家)を出来るだけ維持する権利があることから、子供が主に委ねられる親側、もしくは、より経済的弱者側に、夫婦が同居していた住居に住む権利が与えらる(assegnazione casa coniugale)のが通常です。

割り当てられた住居の家賃とローン

ケース・バイ・ケースですが、概要としては、以下のとおりです。

住居所有者として、名義が双方、もしくは出て行く側にあったとしても、住居を割り当てられた側の親は一切の家賃支払の義務はありません。

一方、管理費や光熱費、アパートのリフォームなどの費用は、裁判で認められていない限りは、居住者側の支払いとなります。

一方で賃貸で住む家を割り当てられた場合、名義人が実際の居住者でない場合は、別居の判決とともに、名義変更を行います。

この場合は、実際に居住する側が家賃、その他の費用の支払いを行います。

割り当てられた家に住宅ローンが残っている場合、夫婦が別居したとしても、ローンの返済の義務を逃れるわけではありません。

出て行く側がローンの借入者となっている場合、引き続き、借入者がローンの返済を行う義務がありますが、この場合、養育費や生活維持費の支払いが減額されます。

共同名義でローンを組んだ場合、銀行側が返済者に十分な返済能力があると判断すれば、実際に居住する者を唯一の名義人として借り換えすることも可能です。

一方で名義人の変更が難しい場合は、住居を売却して、ローンの完済に充てる、などが考えられます。

生活維持費

子供の有無とは関係なく、経済的弱者側の配偶者に相応な収入がない場合、別居前に出来るだけ近い生活スタイルを維持する目的で、生活維持費(assegno di mantenimento coniuge)を請求する権利があります。

生活維持費を請求出来る条件として、

  • 経済的弱者側の請求があること
  • 請求側が、有責配偶者でないこと
  • 請求側に相応の収入がないこと
  • 請求された側に、支払い能力があること

です。

生活維持費は400€/月未満が、全体の約7割を占めます。

養育費・生活維持費が支払われる割合

子供に対する養育費のみの支払いが認められた例は全法的別居数の約47%(うち97%で、父親が母親側に支払う)、養育費と生活維持費が認められた例は全体数の約10%、生活維持費のみが認められた例は全体数の約8%となっています。

別居期間中、子供連れでの許可無き出国

法的別居期間中に、子供を委ねられた側の親が、もう一方の親の許可を得ずに外国に連れ出した場合、子供と住居に関する措置の変更を申し立てられる可能性があるだけでなく、刑事裁判に問われる場合があります。

但し裁判長の了承がある場合は、これに限りません。

イタリアでの離婚

法的別居期間3年を経てようやく、離婚を請求することが出来ます。

協議離婚

双方が離婚やその条件に同意している場合は、協議離婚請願書(domanda di divorzio giudiziale)を当事者双方、もしくは片方が住民票を置く、もしくは一番最近まで住民票があった地区の裁判所に提出します。

この時点では、必ずしも弁護士の同伴は求められません。

また2012年のデータに拠ると、離婚する夫婦の約7割強が、協議離婚を選択している、とのこと。

調停離婚

当事者間で離婚やその条件に同意出来ない場合は、弁護士を通して、調停離婚(divorzio giudiziale)を請求する権利があります。

協議・調停離婚、いずれの場合も、裁判長により口頭弁論会の日時が設定されます。

協議離婚の場合は、1度の口頭弁論会のみで、離婚判決が出ます。

調停離婚の場合は、裁判長が和解を試みますが、それが望めない場合、基本的には法的別居時に定められた条件(養育費、住居の割り当て、生活維持費、面会権など)をもとに(但し必ずしもその限りではない)、条件面での一時的な措置が取られます。

その後引き続き、双方の弁護士サポートのもと、必要回、口頭弁論回が開かれます。

離婚判決

協議離婚の場合は、最初で唯一の口頭弁論会に引き続いて、離婚判決が出ます。

一方で協議離婚の場合は、全ての口頭弁論回終了後に、離婚判決が出ます。

離婚判決では、

  • 離婚手当、もしくは・加えて、生活維持費、養育費
  • 住居の割り当てを含む、財産分与
  • 子供が委ねられる親と、そうでない親の面会権

についての裁定が出ます。

財産の分与

当事者間の財産の分与については、結婚時に、財産の共有(comunione dei beni)、ないし分割(separazione dei beni)を選択していたか、に拠ります。

財産の共有と分割については、イタリアでの結婚を参照して下さい。

離婚手当

しばしば法的別居時の生活維持費と混同されやすいものの、それとは性質が異なるものが、離婚手当(assegno divorzile)です。

離婚手当とは、離婚判決が出る際に、経済的弱者側に離婚手当が必要な場合、裁判長が、双方の経済状況、離婚理由、結婚継続期間などをもとに計算し、その権利が与えられるものです。

離婚の理由もその計算に入れられることから、日本で言うところの慰謝料に近い意味合いがある部分もあります。

但し離婚手当受け取りには、経済的弱者側に、それ相応の収入が無いだけではなく、具体的に相応の収入を得るのが難しい状況である(健康上の理由で働くことが出来ない、など)と判断される必要があります。

ですので、結婚時の生活スタイルを出来るだけ維持する目的で支払われる生活維持費とは異なる性質のもので、基本的には、経済的な弱者側にも新しい生活へと一歩を踏み出す(努力する)ことが求められます。

離婚に掛かる時間と費用

イタリアでの協議離婚に掛かる時間は、協議離婚請願書の提出から離婚判決まで平均250日程度、調停離婚の場合は、請求から離婚判決まで500日程度と言われていますが、特に調停離婚の場合、口頭弁論回が開かれる頻度などによっても、かなり変わります。

イタリアでの離婚に掛かる弁護報酬は、協議離婚の場合で2000弱-3500€、調停離婚で口頭弁論会が5回程度までの場合で10000€からというのが一般的と言われています。

この他に、文書作成費用、収入印紙代等が掛かります。

離婚後、子供をどこで育てるか

例えば日本人妻とイタリア人夫の離婚で、二人の間に子供がいる場合、特に離婚判決後、子供が母親に委ねられると、おそらく多くの日本人妻が家族の居る日本への帰国を希望するかもしれません。

それ自体は、裁判長の裁定により、不可能ではありません(地理的な距離は、双方の両親としての義務を果たすことにおいて、障害とはならない、との判決有り)。

但し子供を委ねられた側が、国外へ引っ越す場合、もう一方に養育費や離婚手当の支払い義務がある場合も、面会権が劇的に減少する可能性が高いことなどから、それらの支払い減額等が認められるのが通常です。

ですが、裁判長の許可無く子供を国外に連れ出した場合は、ハーグ条約国際的な子の奪取の民事面に関する条約により、子供をもとの国(居住所地)に返還される可能性があり、またイタリア国内では、刑事裁判に問われる可能性、またもう一方側より、条件(委ねる親、離婚手当など)の変更を訴えられる可能性があります。

イタリアでの離婚に関する新しい法律

これまで、協議離婚と調停離婚の2種類についてまとめましたが、現在(2015)、イタリアでの離婚に関する新しい法律の施行が待たれています。

これまで非常に長い時間が掛かっていたイタリアでの離婚が、新しい法律が施行されると、場合に拠っては随分と短い時間で行えるようになります。

イタリアでの新しい離婚のかたち

直接離婚
直接離婚(divorzio diretto)とは、つまり、法的別居を必要としない離婚です。
当事者間に未成年の子供、もしくはハンディキャップのある子供(未成年に限らない)、25歳未満の子供で経済的に自立していない子供、のいずれも居ない場合で、双方間で離婚やその条件に関して同意している場合、裁判長に、即時離婚を申し立てることが出来ます。
短期離婚
短期離婚(divorzio breve)とは、当事者間に未成年の子供、もしくはハンディキャップのある子供(未成年に限らない)、25歳未満の子供で経済的に自立していない子供、のいずれか以上が居る場合のうち、協議別居は最初の口頭弁論回から6ヶ月、調停別居は1年の期間を経て、短期離婚を申し立てることが出来ます。
市役所離婚
双方に子供が無く、一切の財産の移動が行われない場合、市役所にて離婚(divorzio in comune)の申し立てが出来ます。
この場合、弁護士は不要ですが、手続料としての収入印紙代が発生します。
弁護士のサポートのもと、直談判離婚
弁護士事務所で双方間の交渉が行われ(negoziazione assistita)、その結果を裁判所に報告する方式です。
裁判所を通さない分、時間の短縮が見込まれます。

この他に、これまでと同様、協議離婚と調停離婚というかたちが残ります。

手続き自体は変わるものの、養育費、住居の割り当てなど、具体的な内容はこれまでと変わりません。

ただ、将来的に離婚までの時間短縮が見込まれると言っても、基本的に当事者間だけの問題であり、尚且つ、離婚やその条件に合意出来る場合のみの話で、未成年の子供がいる場合や、離婚の条件に合意できない場合などは、今後も、それなりの時間と費用、そして何より忍耐が求められるのが、イタリアでの離婚です。

イタリアでの離婚まとめ

結婚の場合と違い、離婚の際には、それぞれを取り巻く環境に拠って通る道や、結果も異なります。

このページでは、イタリアでの離婚に関する概要をまとめましたが、実際には、当事者間で問題が解決出来る場合はそれが良いですが、そうでない場合は、個々のケースで裁判所が状況を判断した上、判決が出るのでそれに従う、というかたちになります。

つまりケース・バイ・ケース、だということです。

ですのでやはり、信頼のおける弁護士を見つける、というのが最良の手段になるでしょう。

イタリアで妊娠・出産

妊婦イタリアで妊娠が判明した場合、まずは掛かり付け医(medico di base)に相談しましょう。

就学用滞在許可証期間中の妊娠で、掛かり付け医が居ない場合は、まずはイタリアの医療制度SSN(Servizio Sanitario Nazionale)に加入し、掛かりつけ医を選択します。

掛かり付け医が処方箋を準備するので、ASL(Assistenza sanitaria locale, 地方保健局)のCUP(Centro unico di prenotazione)で、産科医の初診と、妊婦の為の各種血液・尿・超音波検査の予約を入れます。

妊婦健診

受精から(イタリア式の)13週目まで

  • 血球算定
  • 血液型検査(それまでに検査経験が無い場合)
  • アスパラギン酸アミノ基転移酵素(肝機能)
  • アラニンアミノトランスフェラーゼ(肝機能)
  • 風疹ウィルス
  • トキソプラズマ
  • 梅毒トレポネーマ抗体
  • HIV
  • グルコース(血糖値)
  • クームス検査(不規則抗体)
  • 超音波検査
  • 尿検査

14-18週

  • 尿検査

19-23週

  • 超音波
  • 尿検査

24-27週

  • グルコース
  • 尿検査

28-32週

  • 血球算定
  • 血清フェリチン(貧血)
  • 尿検査
  • 超音波

33-37週

  • B型肝炎
  • C型肝炎
  • 尿検査
  • 血球算定

38-40週

  • 尿検査

41週以降

  • 超音波
  • 心電図(必要な場合)

以上、外国人も、イタリア人妊婦と同様のサポートを受けることが出来ます。

上記期間中に、公立の病院、もしくはSSN提携病院ないし施設で該当の検査を受ける場合は、無料となります(期間外だと有料)。

但し、比較的大きな都市などでは、かなり前もって(数ヶ月)予約を入れなければ、空き枠が無く、期間内に検査を受けられない(期間外は有料)ことも少なくない為、妊娠判明後、まずは早急に掛かり付け医に相談し、早めに予約を取りましょう。

上記以外にも、産科医が必要と判断した場合は、追加の検査等が無料で行われることがあります。

例えば、妊婦が35歳以上の場合や、超音波検査で胎児に異常が見られる場合などは、羊水検査(amniocentesi)や絨毛検査(villocentesi)を受ける権利(受ける・受けないの選択も勿論可)も無料で与えられます。

産科医の初診では、通常、妊婦やパートナーとその家族の既在症や、病歴などをたずねられます。

その他、内診、妊婦の体重測定と血圧検査、胎児の心拍の確認等が行われます。

以降、産婦人科医のもとの妊婦検診は、特に問題が無いようであれば、以降は34週目まで毎月、34週目以降は毎週、無料で受診することが可能です。

イタリア式妊娠週数の数え方

日本では、最終月経初日を0週と数えますが、イタリアでは最終月経初日から1週と数えます。

妊婦とトキソプラズマ

トキソプラズマとは、寄生虫の一種で、生肉(生ハム、サラミ...)や加熱が十分ではない肉(レア・ステーキ...)、猫の糞、もしくは猫の糞が混ざった土などを介し、人間に感染します。

健康な大人であれば、トキソプラズマに感染しても重篤な症状が出ることは殆どありませんが、妊婦にトキソプラズマの抗体が無いまま、妊娠中にトキソプラズマに感染すると、胎児にも感染する可能性があり、脳症、水頭症を起こすなど、重大な影響を与える場合があります。

日本人の抗体陽性率は10%程度であるものの、生肉を食べる習慣が多いイタリアでは、約50%が陽性だと言われています。

しばしばイタリアで、妊婦が生ハム・サラミなどを食べてはいけないと言われているのはこの為で、実際には、妊娠初期段階でトキソプラズマ抗体検査を受け、陽性であれば、胎児が感染して先天性トキソプラズマ症を起こすことはなく、生物・土いじりなども心配する必要はないはずですが、産科医に十分にご相談下さい。陰性の場合は、土を触る際は手袋を使用する、野菜はしっかり重曹を使って洗う、生物は口に入れず、加熱したものを食す、などの注意が必要です。

母親・父親学級

Corso prepartoなどと言い、公立・市立の病院や、Consultorio Familiareで受講することが出来ます。

Consultorio Familiareとは、直訳すると家族カウンセリング・センターですが、婦人科医、産科医、精神科医、看護師などが、妊婦や妊娠を希望する女性とそのパートナーの妊娠・出産に関わる知識向上やカウンセリング、女性特有の病気を予防するための知識向上や検査(子宮頸がん検査)などを行う、法律で定められた施設で、各地方自治体ごとに設置があります。

イタリア各地のConsultorio Familiareリスト

母親・父親学級は、通常、7-9ヶ月の妊婦とそのパートナーに向けて、8-10回前後、行われます。

内容は、体調管理、出産までの流れ、安産体操、呼吸法、母乳育児、新生児に必要なお世話など、特に初産婦にとっては為になることを数多く学ぶことが出来ます。

市立病院でのコースは、参加者の全額負担ですが、公立病院やConsultorioで実施されるコースは、通常、無料ないし、僅かな負担(Ticket)だけで、参加することが出来ます。

ですが無料ないし低料金のコースは、かなり早い段階で予約を入れないと、満席の場合もありますので、注意しましょう。

自然分娩と帝王切開

日本で生まれてくる赤ん坊の約20%が、帝王切開によって生を受けます。

一方、イタリアはヨーロッパで最も帝王切開による出産率が高い国で、全国平均で38%、特に南部に至っては、カンパーニャ州で62%、シチリアでは51%と、半数を超える女性が帝王切開によって出産していることになります。

その割合の多さから、イタリアでは必ずしもそれを行う必要がない妊婦までもが、帝王切開による出産を行っている、と言われています。

その理由は、国立病院で救急救命医として働いている友人の話でも、病院側で出産の時間的計画を立てやすいことに加え、帝王切開の場合は外科手術になるので、国から病院に入ってくる手当もその分多くなるから、というのが理由だそうです。

勿論、その時になって、妊婦や胎児の置かれた状況に拠り、緊急帝王切開手術が最適な方法となる場合もあるでしょうが、妊婦側でも各自、お世話になる病院での、自然分娩と帝王世界による出産の割合を確認したり、また産科医ともこの件についてよく話し合ってみるなどは、事前に必要かもしれません。

またイタリアでは、自然分娩による出産の場合、出産から3・4日、帝王切開による出産の場合は、同じく6日後に、退院となるのが一般的です。

勿論、母体や新生児の状況に拠っては、これに限りません。

日本へ一時帰国する際の航空券

最安値の航空券を探す

Skyscanner というサイトが、各々の旅程にあわせて最安値を調べる+購入することが出来るので、大変便利です。

便利な直行便と欧州各都市経由便

現在、イタリアと日本を直行で結ぶのは、アリタリア航空だけになってしまいました。

しかしそのアリタリアも2015年春には関西路線を運休する為、関西方面に一時帰国される方は、これから利用がやや不便になるようです。

一方、特にローマ・ミラノ以外の地方都市に住んでいる方に便利なのは、エールフランス航空KLMオランダ航空フィンランド航空ルフトハンザ航空などの欧州各都市を経由する便です。

例えば私自身、最寄りの空港はフィレンツェですが、アリタリアで日本へ直行便と言っても、フィレンツェ⇔ローマ⇔大阪(更にそこから個別に大阪⇔福岡間の国内線航空券を取ります)と、大阪まででも、結局2度の乗り継ぎがあるため、最近、比較的頻繁に利用しているKLMオランダ航空で、フィレンツェ⇔アムステルダム⇔福岡でも実質、乗り換え回数は変わらない、ということになります。

アリタリアを含むヨーロッパ各航空会社の航空券は、セール時期にあわせて購入すれば、空港税+サーチャージなど全て含めても、600€前後で日本行き往復航空券を購入することが可能です。

日系航空会社

日本航空全日空は、イタリア各都市から提携の航空会社を利用して欧州各都市(パリ、ヘルシンキ、ロンドン、フランクフルトなど)へ、そこから自社便を飛ばしています。

日系航空会社もセールの時期などには、700€を切る値段で購入することも可能です。

日本航空については、東京・大阪以外、札幌・福岡・那覇などへもほぼ同料金が適用される為、地方への一時帰国にはおすすめです。

またこれも日本航空に限定されますが、直前購入(出発数日前)であっても、比較的お手頃な料金で購入できるので、突発的な用件で一時帰国する必要がある場合などは、利用価値が高いです。

ハイ・シーズンでもお得な航空会社

アリタリアを含む欧州系航空会社や日系の航空会社では、欧州人の休暇時期にあたる夏休み、クリスマス、復活祭時期などのハイ・シーズンには、料金も高めに設定されるのが通常です。

そこで仕事の事情などで、この時期に一時帰国が限定される方などには、ターキッシュ・エアラインズ エミレーツ航空カタール航空がおすすめです。

エミレーツ、カタールは、どちらもエアライン・オブ・ザ・イヤーに選ばれるなど、日本でも既にかなりメジャーになっていますが、ターキッシュ・エアラインズも同トップ10エアラインズの1社に選ばれるなど、機内サービスの良さなどが人気の航空会社です。

最近では、イギリス・サッカー・チームのスポンサーをつとめるなど、有名スポーツ選手を使ったCMがイタリア国内でもよく流れているので、それを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

これらの航空会社は、ハイ・シーズンでも600€~から、日本への往復航空券を購入することが可能ですし、それ以外の時期には往復500€を切ることも。

欧州系などに比べると、やや時間が掛かりますが、数百ユーロの節約が見込めるのは、有り難いです。

日本一時帰国中に格安国内線フライト

日本への一時帰国中に、国内線のフライトが1区間最安¥10800で登場できるお得な特典が設定されています。

日本航空はoneworld Yokoso/Visit Japan Fare, 全日空はStar Alliance Japan Airpassと名前こそ異なりますが、それぞれの航空会社を利用しての一時帰国か、もしくはそれぞれが加盟する航空連合、日本航空はoneworld, 全日空はSar Allianceを利用する場合、日本国内線を1区間ごと¥10800、最大5区間まで格安搭乗出来ます。

どちらも就航している路線であれば、距離などは問わないため、例えば、札幌⇔那覇でも往復¥21600で利用出来、イタリアからご家族やお友達を連れて、日本滞在中に国内旅行を考えている場合などには、大変お得です。

日本航空を含むoneworld, もしくは全日空を含むStar Allianceでの一時帰国は考えていないけれども、同じように国内旅行を計画している場合、日本航空はWelcome to Japan Fare, 全日空はVisit Japan Fareと言い、最低2区間からの利用が可能で、1区間あたり¥14040で搭乗出来ます。

但し後者は、利用できない期間が例えば7・8月一杯に設定されているなど、利用の前に注意が必要です。

oneworld Yokoso/Visit Japan Fare Star Alliance Japan Airpass Welcome to Japan Fare Visit Japan Fare

各航空連合の主だった加盟航空会社

oneworld
日本航空, ブリティッシュ・エアウェイズ, フィンランド航空, カタール航空, マレーシア航空など
Star Alliance
全日空, ルフトハンザ航空, スカンジナビア航空, シンガポール航空,スイスインターナショナルエアラインズ, ターキッシュ・エアラインズ, 中国国際航空など

ちなみにアリタリア航空、エールフランス航空、KLMオランダ航空などは、Sky Teamへ加入しています。

イタリアで結婚

結婚国が違えば、手続きも色々と変わってくるもので、自身の経験も踏まえ、イタリアで結婚する場合の概要について、順を追って説明します。

婚姻要件具備証明書(Nulla Osta)の申請

イタリアで結婚する為には、最初に在イタリア日本国大使館(ローマ)もしくは日本国総領事館(ミラノ)で婚姻要件具備証明書(Nulla Osta)を取得する必要があります。

婚姻要件具備証明書(Nulla Osta)申請必要書類

  • 申請者のパスポート
  • 婚姻相手の国籍、氏名、生年月日が明記された公的機関発行の書類(パスポート、Carta d'Identitàなど、コピー可)
  • 3ヶ月以内に発行された‘戸籍謄本’または‘全部事項証明及び改製原戸籍’
  • 手数料10€50¢

‘戸籍謄本’または‘全部事項証明及び改製原戸籍’は、戸籍がある本籍地の区役所でのみ取得可能ですが、家族が窓口で代理人として取得することも可能です。

私自身は両親に代理取得を依頼し、その後、EMSにてイタリアの自宅に郵送を依頼しました。

Nulla Ostaの作成には通常1日を要しますが、遠方の方は、事前に大使館・領事館に電話で相談をすると、午前中に申請を行った場合、その日の午後までに発行出来るよう便宜を図って下さることがあります。

また取得した‘戸籍謄本’または‘全部事項証明及び改製原戸籍’で、Nulla Ostaの発行が出来るか、事前に確認することも可能です(電話:06-487991, FAX:06-42014998)。

私自身は大使館へ事前に問い合わせたところ、最初に取得した‘戸籍謄本’は、どうやら‘全部事項証明’となっていたようで、併せて改製原戸籍が必要である旨、説明を受けました。

事前確認を怠っていた場合、2度に渡ってローマの大使館に出向くことになっていたので、Nulla Osta申請前には1度、管轄に問い合わせることをおすすめします。

証明書の認証

大使館または総領事館で発行された証明書は、県庁(Prefettura)での認証(Legalizzazione)が必要です。

認証には手数料として、印紙代16€が掛かります。

市役所への書類提出

婚姻要件具備証明書を取得し、それを認証した後は、市役所(Comune)の戸籍課(Ufficio Anagrafe)に婚約者双方で出向き、以下の書類を提出、結婚式の日取りを決定します。

  • 当事者双方の有効な身分証明書
  • Nulla Osta
  • 出生証明書(certificato di nascità)

出生証明書については、日本人の私は、Nulla Osta内に記載があった為、特に提出は求められませんでした。

一方、イタリア人のパートナーについては、出生証明書の提出が必要で、出生登録と住民登録中の市役所が異なったため、現住所の市役所より、出生証明書の取り寄せ手続きを行い、(2つの役所の地理的な距離は200キロ程ですが)1ヶ月の時間を要しました。

財産の共有と分割

市役所への書類提出と同時に、結婚後の財産を共有(comunione dei beni)、もしくは分割(separazione dei beni)するかを宣誓します。

なぜこれが必要かと言えば、結婚が上手くいけば再考する必要はないものの、イタリア国立統計研究所ISTATに拠ると、2010年のデータで、イタリアで執り行われる1000組の結婚のうち489組が失敗(別居ないし離婚)に終わるということ。

I tassi di separazione e di divorzio totale mostrano per entrambi i fenomeni una continua crescita: se nel 1995 per ogni 1.000 matrimoni erano 158 le separazioni e 80 i divorzi, nel 2010 si arriva a 307 separazioni e 182 divorzi.

ISTAT

万一の際に、その時の財産(の分割)をどのようにするか、事前に決めておく、という制度です。

財産の共有とは、結婚後に取得した財産(給与、家、車、ペットなども含む)は共有のものである、という考え方です。

例えば、夫が会社員、妻が専業主婦であって、全て夫の収入で車を購入したとしても、車は夫と妻の共有の財産ということになります。

一方で財産の分割とは、結婚後に取得した財産も、それぞれの財産取得の出処となった者に限定される、という考え方です。

例えば先ほどと同条件で、夫が会社員、妻が専業主婦で、全て夫の収入にて車を購入した場合、車は夫の財産(妻に権利はない)となります。

ちなみに同じISTATに拠ると、2012年のデータで、68.9%の夫婦が財産の分割を選んだそうで、それは増える傾向にあります。

要するに、離婚する際、財産について早く決着をつけるため、またそれぞれが取得した財産はそれぞれのものである、という考え方がより浸透しているためだと思われます。

財産の共有から除外されるもの

以下のものは、財産の共有を選択した場合も、共有から除外されます。

  • 結婚以前の財産
  • 結婚後に相続した財産(遺産相続など)
  • 使用が個人に非常に限定されたもの(髭剃り、化粧品など)
  • 職業上必要な設備・道具類
  • 損害賠償で得た財産や、障害年金の類
  • 取得時に共有財産ではないことが名言されていた財産

式場の予約

市役所での書類提出と同時に、民事婚(市役所で挙式を挙げる)の場合は、式場(となる部屋)を予約します。

通常、市役所内の幾つかの部屋から式場を選択して予約でき、広さや雰囲気、借りる曜日などに拠って式場代が変わりますが、百から数百ユーロ程度のお代が一般的です。

観光地など人気の高い市役所の、人気の式場は、式場代が1000€以上と高額であったり(居住民と非居住民で料金が異なる配慮がある場合も)、1年以上前もって予約しなければならない場合もあるようですが、一般的ではありません。

また市役所で挙式と言っても、イタリアの多くの市役所は、それなりに歴史がある建物も多く、雰囲気のある式になることも少なくありません。

例えば私達が挙式したアレッツオの市役所は、1300年に建てられたお城然とした建物でした。

結婚の公示

全ての書類が揃った時点で、結婚の公示(pubblicazione di matrimonio)が行われます。

結婚の公示は、所謂、重婚などの不法な結婚を防ぐ目的で、2回の日曜日を含む8日間の公示期間の間に、二人の結婚に異議があるものは申し出る、といったものです。

殆ど儀式的なもので、以前は市役所の掲示板に公示されていましたが、現在では市役所のサイト上に掲載されます。

また結婚の公示より180日以内に、挙式が執り行われる必要があります。

結婚の公示に関する必要書類

  • 当事者双方の有効な身分証明書
  • 収入印紙代€16(新郎新婦で住民登録中の市役所が異なる場合は2通分として収入印紙代€32)

教会での結婚式

また教会での結婚式など、宗教に基づいた式(宗教婚)を希望する場合、この時期に教区司祭へ、日取りなども含めて相談します。

式場代としては、寄付(offerta)、所謂、お布施のようなものですが、地域や教会に拠ってかなり相場が異なる為、お住まいの地区の教会式の相場については、経験者のお友達などに尋ねると良いでしょう。

教会で結婚式を挙げる場合、これは教区司祭の判断に拠るところが大きいですが、多くの場合、キリスト教の教えやキリスト教のもとにおける良い夫婦像について学ぶために、結婚準備コース(corso prematrimoniale)への参加が求められる場合があります。

曜日・回数などは勿論、相談の上、教区司祭の判断に拠りますが、週末に6~10回前後に分けて行われる場合が多いようです。

立会人

更に挙式当日には、新郎新婦に各1名以上の立会人が必要であることから、それぞれの親友に相談します。

結婚式の準備

日本とイタリアにおける結婚式の準備で圧倒的に異なるのは、日本ではホテルなどの式場で、挙式(衣装・メークアップなども含む)から披露宴(メニューやお花、テーブル・セッテイングなど)まで、パッケージ化されているのに比べ、通常、イタリアではこれらのことを1つずつ、当事者二人で決めなければならない、という点です。

最近ではイタリアでもウェディング・プランナーなる職業の方もいらっしゃいますが、未だ一般的ではありません。

つまり、挙式場(教会・役所など)を予約、新郎新婦の衣装は式服を扱う店を幾つか廻って探し、ブーケや披露宴会場のお花も複数の花屋さんと相談、披露宴会場も幾つかのレストランなどから下見して決定、写真も複数のスタジオから検討、当日のメークアップ、髪型、エステなども行きつけの美容院で云々・・・といった感じです。

日本では、余りこだわりが無ければ、それこそ式場で提案されたプランに申し込むだけで挙式から披露宴まで行うことが出来ますが、イタリアでは、自分たちで1つずつ決めていかなければならない為、やや大変ではありますが、準備段階についてもより記憶に残るものになるでしょうし、日本と違って式場の縛りがない分、費用の面でも、比較的節約できる場合が多いです(勿論、招待人数も含めて、どのような挙式を行うかに拠りますが)。

御祝儀に替わるもの

イタリアの結婚式において、御祝儀は一般的ではありません。

それに替わるものとして、新郎新婦は、(高級)食器店や(大型)電気店などで新生活に必要な品を、ある程度幅のある価格帯の中から選択し、結婚の贈り物一覧(lista di nozze)としてお店に登録します。

招待客は、通常、招待状に結婚の贈り物一覧が登録されているお店が記載されているため、そのお店に出向き、各自、新郎新婦との関係や予算に拠って(通常100€~)、贈り物とする品を選びます。

つまりどんな贈り物が届いたとしても、そもそも本人たちが選択したものなので、無駄が無いという、とても合理的なシステムだと思います。

また旅行代理店で、新婚旅行の代金を、招待客がそれぞれの予算で出し合う、というものも。

最近では、招待状に新郎新婦の銀行口座が記載されているもの、つまり招待客が御祝儀を振り込むかたちも、稀に行われるようです。

引き出物

イタリアの結婚式では、引き出物に替わるものとして、式の最後に新郎新婦からbomboniere(ボンボニエーレ)という記念品が贈られることが一般的です。

bomboniereとは、ガラスや銀細工の容器にリボンなどで装飾がされた飾り物で、二人の名前や挙式日などが細工されたものをよく見かけます。

bomboniere自体は必ずしも結婚式の記念品としてのみ贈られるものではなく、洗礼式や聖体拝礼式など、お祝い事の記念として配られるものです。

購入は、専門のお店や、最近ではネット販売などもあり、1つ数ユーロから、高級なものでは1つ数十ユーロ以上するものもあります。

日本への婚姻の届出

イタリア方式で婚姻が成立したら、日本への婚姻の届出が必要です。 婚姻の成立から3ヶ月以内に婚姻届を日本大使館、日本総領事館または日本の本籍地役場に届ける必要があります。

日本大使館、日本総領事館への婚姻の届出

日本人同士の婚姻の場合

  • 婚姻届3通(イタリア大使館窓口に用紙があります)
  • 夫と妻の戸籍謄本各2通(6ヶ月以内に発行されたもの)
  • 婚姻証明書(Certificato di Matrimonio)3通(3ヶ月以内に発行されたもの)
  • 婚姻証明書の和訳文3通(イタリア大使館作成の雛形有)

配偶者の一方が外国人の場合

  • 婚姻届2通(イタリア大使館窓口に用紙があります)
  • 日本人配偶者の戸籍謄本2通(6ヶ月以内に発行されたもの)
  • 婚姻証明書2通(3ヶ月以内に発行されたもの)
  • 婚姻証明書の和訳文(イタリア大使館作成の雛形有)
  • 外国人配偶者の国籍証明書(3ヶ月以内に発行されたもの)
  • 外国人配偶者の国籍証明書の和訳文(イタリア大使館作成の雛形有)

婚姻証明書、国籍証明書は、市役所(Comune)の戸籍課(Ufficio Anagrafe)で取得出来ます。

婚姻の届出は、遠隔地に住む場合、郵送も可能です。

2€10¢の切手を同封の上、大使館領事班宛に婚姻届の請求を行います。

氏の変更

氏(姓)の変更を行う場合は、イタリア方式での婚姻成立から6ヶ月以内に外国人との婚姻による氏の変更届を届出る必要があります。

パスポートは、以前ですと記載事項の訂正を行い、既存のパスポートを使用することが可能でしたが、旅券法の一部改正に伴い、記載事項の訂正制度が廃止され、平成26年3月20日からは、記載事項変更旅券という新たな方式のパスポートの発給が始まりました。

併せて、滞在許可証、Carta d'Identità、税務番号、運転免許証なども、記載事項変更の手続きをする必要があります。

記載事項変更旅券とは

記載事項変更申請時に既存のパスポートを返納し、その返納したパスポートと有効期間満了日が同一となるパスポートを新たに発行するもの。

イタリアでは夫婦別姓が一般的

イタリア内務省に拠ると、‘馬鹿げた名前、恥ずかしい名前、出生が分かる名前、もしくはその他の理由で姓、もしくは姓名変更が必要なイタリア人は、県庁に変更申請を届けることが出来る云々・・・’

Il cittadino italiano che abbia l'esigenza di cambiare il proprio cognome, oppure il nome o cognome perché ridicolo ovvero vergognoso o perché rivela l'origine naturale o per motivi diversi, può farne richiesta al prefetto della provincia di residenza o nel luogo nella cui circoscrizione è situato l'ufficio dello stato civile dove si trova registrato l'atto di nascita al quale la richiesta si riferisce.

Ministero dell'Interno

とあるように、イタリア人同士の結婚の場合に、それを理由として、姓を変えることは一般的ではありません。

私自身も、たとえ日本で日本人と結婚していたとしても夫婦別姓を望んでいましたので、夫婦別姓を選択しました。

その結果、パスポートについて、念のため、在イタリア日本大使館に何らかの変更手続き申請が必要かどうか確認したところ、姓の変更がない場合は、特に手続きの必要はないとのことでした。

但し滞在許可証は、私の場合、就労用滞在許可証から家族用滞在許可証へ変更を行ったため、こちらは別途手続きを行いました。

所轄への確認

以上、私自身の経験も含めて、イタリアで結婚する場合の概要をお話しましたが、特に市役所での提出書類などは、各地で微妙に異なる場合があるため、各自、管轄へ必ずご確認下さい。

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