イタリアで就職する為に求められるもの
語学力
職種にも拠りますが、やはりイタリアで仕事を見つけるためには、ある程度のイタリア語力が必要です。
具体的にどの程度の語学力が必要か、と言うと、日常会話に全く支障がない程度、欧州評議会が定めるB1、つまり中級レベル以上です。
また今日ではイタリア語はもとより、英語力が求められる場合も殆どです。
90年代後半をピークに、当時に比べるとイタリアを訪れる日本人観光客の数は数分の一ほどに減少し、日本語力だけで仕事を得ることは大変難しくなりました。
求められる英語レベルは、職種にも拠りますが、ブランド・ショップの店員などであれば日常会話レベル、旅行業や貿易業の場合は、英語もビジネス・レベルが求められます。
ですので目安として、最低でも日常会話レベルの英語力は、中学・高校時代の英語テキストで復習してでも身に付けることが求められます。
経済力
なぜ就職するのに経済力が求められるのか?、と不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。
ただこの点については‘イタリアで働くということ’でも述べたように、もしイタリアで就職先を見つけたとしても、現状、Decreto Flussiという移民法が解禁にならない限り、週20時間のパート・タイム社員としてしか働くことが出来ない為です。
つまり、会社から貰えるパート・タイムのお給料だけ(500€程度)では、とても生計を立てていくことが出来ません。
またこのDecreto Flussiが解禁になるまでは、パート・タイムで働くにしても、この場合は有効な‘就学用滞在許可証’を所持していなければなりません(就学用滞在許可証で週20時間までのパート・タイム労働が可能)。
ただ就学用ということは、当然、その主とした目的は、‘就学’です。
つまり、このDecreto Flussiが解禁になるまでは、週20時間のパート・タイムで働きながら、就学用滞在許可証が求める週20時間以上の就学(語学学校や専門学校等)への通学が求められるます。
語学学校や専門学校へ通うためには、当然ですが、学費も必要です。
忍耐力
Decreto Flusiの解禁については、現在、イタリアの首相に解禁の権限があり、その解禁の時期は定期的ではありません。
解禁になる年もあれば、年に拠っては1度も解禁にならない場合もあります。
実際、2009年のリーマン・ショック以降、13パーセントを超える失業率に苦しむイタリアでは、どちらかというと新たな外国人労働力の流入を歓迎しない傾向があり、Decreto Flusiも解禁も数年に1度というような状況です。
いずれにせよ労働者側に出来ることは、就学用滞在許可証で20時間のパート・タイムで働きながら、ひたすら忍耐強く、Decreto Flussi解禁を待つだけです。
運とタイミング
就職という人生でも大きな転機となる出来事を、運とタイミングに左右されるというのは酷な話ですが、現実問題として、イタリアでの就職にはそのような要素も求められます。
人に拠っては仕事が見つかって直ぐDecreto Flussiが解禁になる場合もあるでしょうし、人に拠っては仕事が見つかって延々何年もDecreto Flussiが解禁にならない場合もあるかもしれません。
但しDecreto Flussiの解禁数ヶ月前ほどから、テレビや新聞のニュースなどでも移民法に関する記事を数多く目にするようになります。
また留学後、イタリアでの就職を目指す場合も、前回にDecreto Flussiが出たタイミングを見はからって、それから暫く後に留学、就職を目指すのも手です(Decreto Flussiは過去の例から1年に1度以上解禁になることはまず無い為)。
ですから運とタイミングといっても、自分にそれが巡って来るよう、普段からの情報収集も必要です。
行動力
これからイタリア就職を目指す方に1番理解しておいて欲しいこと。
それは、とにかく自分で調べてみる、すぐに答えが分からなくとも、それを調べようとする努力や行動力が必要だということです。
最初から厳しい現実を突きつけますが、やはり外国での就職は容易いものではありません。
難しい、と理解していても、現実は想像以上に厳しいのもまた事実です。
そのような厳しい競争の中から勝ち残る為には、並大抵ではない努力が求めらるといって過言ではないと思います。
ですから既存の情報や人に頼る、その前に、まずは自分で調べる努力をすること。
移民関係の法律を読み込む、ニュースや新聞、ネットで移民関連のトピックを日々チェックする、Centro per Impiego(ハローワーク)やDirezione Provinciale del Lavoro(地方労働局)へ出向いて就労用滞在許可証、就職に関する相談を行う、そのほかにも色々な方法があると思いますが、自分自身での努力の積み重ねは絶対に忘れないで下さい。
イタリア語がよく分からないから自分で動くことが出来ない・・・では残念ながら通用しません。
結局、イタリアで就職する為に1番大事なことは、行動力かもしれません。
自分自身が定めてしまった限界(イタリア語がよく分からないから・・・)を打ち破ることが出来るかどうか、に掛かっているといっても良いと思います。