職種を選ぶ
ここでは、日本人がイタリアでどのような職種に就くことが出来るか考えてみます。
まずは‘イタリアでやりたい仕事があるから現地就職したい’のか、それとも‘とにかくイタリアに住みたいから、どんな仕事でも良いので現地で職につきたい’のかで話は全く異なります。
やりたい仕事が決まっている場合、特に説明する必要も無いので、ここでは、とにかくイタリアで働ければどんな仕事でも良い、という場合のお話です。
特別な資格・特技が無くてもイタリアで就職する
まずイタリアで特にやりたい仕事があるわけではない多くの方は、特に仕事に結びつくほどの資格や特技が無い、という人が多いと思います。
このような場合、確かにイタリアでの就職は易しいとは言えません。
2000年始め頃は未だ多くの日本人が観光客としてイタリアを訪れていたため、ブランド・ショップの店員、観光ガイドの現地係員といった日本語を活かせる職種の需要がある程度ありましたが、一時に比べてイタリアを訪れる日本人観光客が激減したこと、また日本語が話せる人間が必要な職場では既に日本人が働いていることなどから、現在では、日本語力のみを強みとして活かせる職場は殆ど無いといっても過言ではないと思います。
日本食(風)レストランで働く
そんな中、比較的需要があるのは、ここ数年、イタリアでも大人気の日本食レストランでのウェイター・ウェイトレスとしての仕事です。
この場合、日本食レストランと言っても、殆どの場合は、中国人が経営する、日本食風レストラン(勿論、数は少ないですが、日本人が経営するお店もあります)です。
この手の仕事は、語学力も含めて、正直、特別な技能を求められる職種ではなく、比較的誰にでも出来る仕事である為、仕事は見つかりやすいのですが、残念ながら、正式雇用契約を結ばない、イタリア語で言うところのラヴォーロ・ネーロ(Lavoro nero)、つまり不法就労であることが少なくありません。
ラヴォーロ・ネーロ、不法就労には要注意
また職種は限りませんが、一部の悪徳雇用主は、将来的に正社員として雇用することを口約束しておいて、実際には全くその気がない。
もしくは最初の数か月は給料の支払いがあるものの、その後は経営が余りうまくいっていないなどの口実をつけて給与未払いとなり、その後も経営者を信じて働き続けたものの、数か月以上ただ働きとなり、学生側も不法就労と分かっている上に、言葉の問題などもあって、然るべきところに相談できない、そうこうしているうちに滞在許可証の期限も近づき、泣く泣く帰国する。
またこのような手口を使って、次々と日本人留学生をこき使う雇用主も少なからずいるので、特に不法就労には十分注意が必要です。
話は少し逸れましたが、現在では日本語のみを活かして働ける職場はかなり少ないものの、0ではありませんので、実際にイタリアで日本語を活かして出来る仕事について、簡単にまとめます。
ブランド店の店員
この場合、企業規模自体が通常大きく、福利厚生は勿論、就労用滞在許可証取得の為に必要な手続きなどを(個人経営の会社やお店などに比べると)きちんと取って貰える可能性が高いのが1番のポイントです。
但し、以前は殆どの高級ブランド店で日本人店員さんが働いていましたが、現在では日本人観光は一時に比べてかなり減少し、一方で、中国・ロシア人観光客が激増した為、店員さんに求められる素質も、イタリア語・英語に加えて中国語、ないしロシア語という求人情報が多くなりました。
ですので、中国・ロシア語は難しいとしても、最低限、日常会話レベル以上の英語力は求められる職種です。
日本企業と取引のあるイタリア企業や、日本企業のイタリア支社で働く
日本企業と取引のあるイタリア企業をどのように調べるか、私の場合は、Centro d'Impiego(日本で言うところのハローワーク)に行って、輸出入・繊維系などの業種の会社リストを大量にプリントアウトして貰い(輸出入、繊維系の企業であれば、日本と取引がある企業があるかもしれないと考えた為)、後は一つずつ、ネットで各会社の経営内容等を確認。
その上で、日本企業との取引がある、もしくは可能性がありそうな企業に一つずつ当たりました。
観光産業で働く
イタリアでは主にイタリア人ガイドを保護する為、イタリアで資格を持たない外国人ガイド(現地係員とも)だけをつけることは法律で禁じられてます。
ですので実際には、イタリア人ガイドの補助(通訳などの補助的仕事)が仕事となります。
この仕事は特に現地で長期生活をしている、イタリア人と結婚した日本人女性などに人気がある職種で、日本人観光客が減少した現在では、新たに仕事を見つけるのはかなり難しいのも事実です。
また不定期な仕事でもある為、この仕事だけで生計をたてていくのもなかなか大変だと言えるでしょう。
日本語教師として働く
イタリアで日本語教師として働く為には、必ずしも日本語教師の資格は求められません。
勿論、正しい日本語を教える為には資格があった方が良いとは思いますが、就職の絶対条件ではないようです。
但しこの職種は需要がかなり少ないため、イタリアで長く生活している中で、知り合いから頼まれ、という場合が多いようです。
ですのでこちらも狭き門ではありますが、日本語コースのある専門学校に、逐一、履歴書を送っておくなどのアピールも必要です。