シェンゲン協定とその噂の真相
留学生から良く質問を受ける、就学用滞在許可証の期限切れ直前に一旦イタリアを出て再入国すると、再度イタリアに滞在出来る。
又、以降3ヶ月毎にそれを繰り返すことで、その度にイタリアで3ヶ月の滞在が出来る、という噂。
本当の所はどうなのか、検証してみましょう。
就学用滞在許可証の期限切れ直前に、シェンゲン協定加盟国(ここではイタリア)から非加盟国に渡り、再度加盟国(イタリアなど)に入った場合、再入国日から最長90日間、観光目的で加盟国(イタリアなど)に滞在することが出来ます。
観光目的の滞在の中でも、語学学校などに通うことは可能です。
但し、観光用滞在許可証については、それ自身の更新、就学用、就労用などあらゆるタイプの滞在許可証への変更更新は一切認められていません。
なおかつ一旦期限がくると、それから90日以上、協定非加盟国(ここでは日本など)に滞在してからでないと、いかなる協定加盟国に入国することが出来ません(ビザがある場合は、90日またずして再度入国が可能)。
つまり、就学用滞在許可証から、観光目的での滞在に切り替えて、最高90日のイタリア滞在は出来ますが、それ以降の延長他は一切出来ません。
またその後、90日以上シェンゲン協定非加盟国に滞在してからでなければ、シェンゲン協定加盟国(例えばイタリア)にビザなしで再入国することは出来ません。
entering into the territory of the Member States for stays not exceeding three months (90 days) in any six-month period.
Council Regulation (EC) No 539/2001/より一部抜粋
最初にシェンゲン協定加盟国へ入国した日から数えて180日の間で、最大90日間の滞在が認められる。180日間で何度もシェンゲン協定加盟国を出入りする場合は、数次査証(有効期間内であれば何度でも使用可能なタイプの査証)により出入国が可能であるが、その場合も最初にシェンゲン協定加盟国へ入国した日から、総計して90日以内の滞在でなければならない。
結論とすれば、例えばイタリアの就学用滞在許可証期限前にシェンゲン協定国外に出て、その後、シェンゲン協定加盟国(例えばイタリア)に再入国した場合。
その後、90日間は観光目的でイタリア国内に滞在することが出来、なおかつその期間は語学学校などにも通うことは可能です。
が、観光目的でのビザなしでの滞在は再度更新すること、他のタイプの滞在許可証(就労、就学など)へ更新することも、一切不可能であること。
その為、観光目的での90日の滞在期限がおとずれた後は、ビザなしでは90日以上、シェンゲン協定非加盟国(例えば日本)に滞在してからでしか、シェンゲン協定加盟国(例えばイタリア)再入国が出来ないため、イタリアで90日→シェンゲン協定非加盟国へ数日滞在→イタリアへ90日、という滞在方法は法律上不可能です。
ちなみに2015年現在、イギリス、アイルランド、ルーマニア、ブルガリア以外、全てのEU加盟国がシェンゲン協定に加盟しています。
- シェンゲン協定加盟国
- イタリア、オーストリア、ベルギー、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ルクセンブルグ、マルタ、ポルトガル、オランダ、スペイン、スロバキア、スロベニア、デンマーク、スウェーデン、ポーランド、リトアニア、ラトビア、ハンガリー、エストニア、チェコ、アイスランド、ノルウェー、スイス、モナコ
※但し、シェンゲン協定加盟国・非加盟国については情勢が変わる場合もありますので、一番最新で正確な情報は各自でご確認下さい。